2011年5月4日水曜日

リスクと放置

原子力発電所の問題では、「想定外ではすまされない!」という意見をよく聞きます。
原発に限らず、想定すべきリスクを事故が起こるまで放置してしまうのはなぜでしょう?
・酔っ払いが駅のホームから落ちるリスク
・スピードを出しすぎると曲がりきれないカーブ
・長時間労働で過労死しそうな社員が沢山いる会社
地下鉄のホームが二重ドア化されたり、道路にガードレールが出来たり、会社が残業を規制したりするのは、事故が起こって社会問題化した後です。

結局のところ、対策に必要なコストよりも守るべき利益の大きさが明らかになったときにしか動かないのが人間社会なのでしょう。
人間の命を利益に置き換えることは出来ません。だから、死亡事故が起きるとすぐに対策が実施されます。しかしそれさえも、マスコミやネットワークにより「公然になった死」だけが対象なのかもしれません。ほとんどの人が知らない「小さな死」があっても、費用を出し惜しむことだってありそうです。

めったに車の通らない道路にガードレールを設置するにもコストはかかります。
そこまで必要ないでしょう、とみんなが思っていたところに事故が起こってしまった。
だから、ガードレールを設置した。

リスクの共感が未然に事故を防ぐ方法だと思います。