2011年8月29日月曜日

季節の贈り物

田舎の叔父さんから、梨が送られてきた。
毎年のことで、いつも、嬉しく美味しく頂いている。

ぼくの田舎は栃木県の北の方なので、農業や畜産業は原発事故の影響を大きく受けている。
「今年は原発のことがあるから送るのをやめようかとも思ったけど、毎年のことだし、こっちの人はみんな食べてるから」
となんだか申し訳なさそうに、叔父さんは電話口で話していた。
「実家に帰ったら、栃木のものしか食べてないんだから平気ですよ」
と答えると叔父さんは少し安心してくれたようだった。

震災の後、父母が少し元気をなくしているようなので、今年はいつもより少しだけ多く里帰りしている。
栃木に帰れば、栃木の農産物を食べ、栃木の牛乳を飲む。
父と母は、「それ以外に選択肢がない」と言った。

東京にいれば、西日本の物を買う選択肢がある。
韓国にいれば、日本産の物を買わない選択肢がある。

韓国の人が、「日本の野菜は、九州のものでも買わない」といったら、いやな気持ちになると思うし、ナンセンスだと考えるだろう。
でも、原発事故が韓国で起こったことで、日本の空や大地が昔のままだとしたら、「韓国産の野菜は一切、買わない」という人はたくさん出てくると思う。

結局、選択肢のない人だけがいつも苦しんでいる。